
photo: Shinobu Sakagami
JAMES LEE BYARS
エジプトでの最後の日々
2025年3月1日(土)
15:00-17:00
講師:坂上しのぶ(美術史家)
参加費:1,500円
定員:10名
会場:ETHICA
岐阜市八幡町14-3 三輪ビル2階<ラ・ぺスカ上>
tel 058-207-8899
申込み方法:
お名前と当日連絡可能なご連絡先を添えて、e-mailにてお申し込みください。
キャンセルポリシー:
恐れ入りますが、当日のキャンセルは全額ご負担いただきます。
1997年5月23日未明、デトロイト生まれの一人のアメリカ人美術家がアフリカで亡くなった。
終の棲家と定めたエジプトのメナハウス1204号室、大ピラミッドが最も美しく見えるというギザの地で。
ジェイムズ・リー・バイヤーズ、1932年4月10日生まれ、享年66歳。
「彼を天才であると確信していなかったら、私は彼をおそらく狂人だと思ったにちがいない」
若きバイヤーズ に日本で出会った美術評論家ランド・キャスティールにそう言わしめたバイヤーズ 。
病に苦しみながらも芸術家としての人生を生き抜いたバイヤーズ のエジプトでの最後の日々を、彼と不思議な縁を持つGALLERY CAPTIONで話す機会を持つことに、大いなる導きのようなものを感じるのは、何故なのだろう。
坂上しのぶ (美術史家)
坂上しのぶ(さかがみしのぶ)
1971年東京都に生まれる。1997年京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。
第二次大戦前後の京都における前衛美術運動の歴史調査を専門とする。
現在、ヤマザキマザック美術館学芸員。
「James Lee Byars: Days in Japan」
written by Sakagami Shinobu
published by Floating World Editions, Inc.
2017
(英語版のみ)
「ジェイムズ・リー・バイヤーズ 刹那の美」
坂上しのぶ 著
株式会社青幻社
2020年1月発行
「James Lee Byars: Days in Detroit」
written by Sakagami Shinobu
published by Floating World Editions, Inc.
2024
(英語版のみ)
*当日は書籍の販売も予定しています。

photo: Shinobu Sakagami
ジェイムズ・リー・バイヤーズは、日本との縁がとても深い作家です。
しかしながら、その名前と作品について知る人は、少ないかもしれません。
バイヤーズは、最後の来日となった1996年11月から1997年2月までの滞在を経て、同年5月にエジプトで客死します。
私がギャラリーキャプションで勤め始めたのは、それから1年が過ぎた頃でした。ギャラリーとバイヤーズとは直接つながりはなかったものの、どういうわけかバイヤーズと近しくしていた方が周りに何人かいて、奈良ホテルでの伝説的なパフォーマンスの話や、滞在中の破天荒なエピソードの数々を聞くにつれ、まだ駆け出しで右も左も分からず、見るもの聞くもの全てが真新しかった私にとって「ジェイムズ・リー・バイヤーズ」の存在は、強烈に印象づけられていきました。
『1960年代後半、ニューヨークのアート・シーンに突如として出現したジェイムズ・リー・バイヤーズ。彼は、呪いの数字「666」が刻まれた紙をばら撒いたり、古い教会のてっぺんから意味不明な言葉を叫び続けたり、金箔をはりめぐらせた黄金の茶室を作ったりした。彼のパフォーマンスは、時にカルト的不気味さと終末論的な静謐さをただよわせ、今では美の異端者としてその名を世界で不動のものにしている。(中略)バイヤーズは、1958年から67年までの約10年間を日本で過ごしている。彼の芸術は禅や仏教思想、神道、能、茶道、書など、多岐にわたる日本文化から大きな影響を受けた、と多くの文献で語られながら、しかし、とりわけ彼の日本での生活についてはほとんど研究調査がなされておらず、美術関係者のあいだでさえ知られているところはきわめて少ないのが実情である。』(坂上しのぶ著「ジェイムズ・リー・バイヤーズ 刹那の美」より抜粋)
美の異端者、ジェイムズ・リー・バイヤーズとは何者だったのでしょうか。
終焉の地、エジプトから辿ります。
GALLERY CAPTION/ ETHICA
山口美智留