牧野優希 「土が見た夢」
2025年6月28日-7月20日

牧野優希 「公園のラプソディ」
キャンバスに油彩
65.2×91(cm) 2025年
牧野優希
土が見た夢
Makino Yuki solo exhibition:
A dream by the soil
2025年6月28日(土)-7月20日(日)
12:00- 18:00
月火曜日 休廊
*作家在廊日:6/28, 6/29
一日が終わるころの
散歩がてらの帰り道
飛行機か、遠い稲妻なのか群青の空が唸っている
丘の向こうに自動車のライトがひゅうと流れ
マンホールからは水の音が響き
クルドサックの小島の向こうに月が昇る
ツツジの赤色が連なって灯り
植物の甘い匂い
夏が始まる土の匂いがする
こんな空気は心がざわめく
獣の息遣いが聞こえるようで
私も通った学校のジャージを着た子供が通り過ぎた
孤独というにはあまりにも満ち足りていたけれども
ここではないどこかへ行きたいと願っていた日
今もちっとも変わっていない
同じように遠くの風景を見ている
太鼓橋を渡ると見渡せる街
向こうの住宅に囲われた木立では鳩の家族が眠っていて
聳える電波塔は穏やかなゴジラみたいだ
歩いて身体が温まってくると
安いイヤホンを着けて音楽を聴く
掻き鳴らされる弦の音が頭の中で爆ぜると
紺色の空が紫や赤を帯びる
ドラムの音が心臓に轟き
コーラスが風になって葉をざわめかせる
この鼓動はどこから来るのか
原初の頃、アンモナイトがいる頃よりもっと昔
世界の始まりのような波打つ鼓動が
私を介して絵の具に宿り
景色は身体と一体になってきらめく
牧野優希 2025年5月
牧野優希(まきのゆうき)
1999年 神奈川県生まれ
2024年 多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
現在 多摩美術大学大学院絵画学科油画専攻領域 在学中
【展覧会歴】
2023年「第22回アートギャラリーホーム展」(チャームスイート四谷/東京)〈ヒューリック賞〉
2024年「Newfound」(GALLERYCAPTION/岐阜)
2025年 個展「大地が湧き立つ」(フリュウギャラリー/東京)
「face展 2025」(SOMPO美術館/東京)〈入選〉
「第5回公募アートハウスおやべ現代造形展」(アートハウスおやべ/富山)〈佳作〉

「埴生の海」
キャンバスに油彩
72.7×116.7 2024年

「春が鳴る」
キャンバスに油彩
45.5×38(cm) 2025年